龍勢のできるまで


竹の切り出しから~打上げる龍勢ができるまで

草薙神社龍勢保存会の活動は、総会を開催することで、その年度がスタートします。
草薙龍勢花火実行委員会との協議で祭典日が決まれば、抽選会や講習会・竹取神事などの保存会としての日程が決まり、それにより各支部において、打上本数や作業日程・花火の展開方法・部品購入計画などを決めていきます。

ここでは、龍勢を製作する作業工程について、順を追って紹介いたしますが、支部ごとに順序が違ったり、記載以外の工程が入る場合もあります。


【龍勢の作り方】 (ある支部のある年の工程としてご紹介します)

①竹の切り出し作業


②竹の皮削り加工作業


③柿渋作り


④落下傘作り


⑤タコ糸・ロープの準備


⑥頭用筒を作る


⑦吹き竹の節を抜く

吹き竹用の竹を仕上げます。
節削りやヤスリ・カンナなどの道具を使って、内側の節を削り平らにします。


⑧変化筒の仕上げ

導火線を挿す穴を開けます。
穴の位置や数は、変化花火の出し方によりそれぞれの支部によって違いがあります。


⑨変化の仕込作業


⑩花笠の取り付け(取付しない支部もあります)

花笠用の花火(ランス)を落下傘のふちに取り付けます。


⑪変化筒の連結

変化筒3本を1張の落下傘で吊るすため、変化筒同士をタコ糸で連結させます。


⑫大落下傘の準備(尾吊り)

尾吊り用の落下傘につなげた、柿渋の付いた長いタコ糸を1本に結び、更にそのタコ糸とロープを結びます。
工程の最後に、このロープと吹筒のついた尾竹とを結ぶ事になります。


⑬火薬の湿し作業

花火屋で火薬に湿しをします。
龍勢1本あたり3kgの火薬に柿渋(他の汁を使う支部もあります)を混入し、フルイを使って火薬を均等に湿らせます。


⑭吹き竹の仕上げ

吹き竹を仕上げます。内径を計測し、その径によって火薬を詰める長さを決め、吹竹の外側にその位置の印しをつけておきます。
節の間に、テープやバンド或いは綿のロープ等で全体を補強しておきます。


⑮頭詰め作業

先ず頭の底板の中心穴にハデ粉の導火線を挿しておきます。
その後、吐出し花火・変化筒・花笠花火・変化用吊り・頭用吊りと順番に入れ込んでいきます。
全て入れたらフタをします。(風切のトンガリをつける支部もあります)


⑯火薬詰め作業


⑰キリもみ作業

吹竹に火薬を詰め終わった後、火薬の中心に穴を開けていく作業です。
キリという道具で詰まった火薬の中心に、詰めた火薬の8~9割程の長さの穴を開けていきます。


⑱頭と吹きの合体

⑮で作った頭と、⑰のキリで穴を開けた吹竹を合体させます。
頭の底から出ている導火線と、吹竹に詰めた火薬を接触させて、すき間の無いようにヒゴを使い針金やバンド或いはボンド等で固定します。


⑲頭と尾の合体


⑳最後に⑫のロープで尾竹とを結びます

ここまでが、龍勢を作る工程であります。


以上が製造方法ですが、
ここに書いていない作業もまだまだあります。


竹の切り方・糸の長さの決め方・旗の立て方・火薬の混ぜ方・煙星の巻き方・各種変化花火 の仕込み方・突き場の建て方・吹竹の縛り方等々、説明がしにくい作業があります。

各支部において工夫をこらし、その作り方を受け継ぎ、そして伝承しています。

また、技術検討会や製造責任者会の会合をもち、それぞれの支部の技や工夫を、伝え合い・ 教え合って製造技術の発展に努め、打ち上げの成功率向上を図っています。